前回は、うつ病のメカニズムについてお話ししましたが、今回はうつに対する治療法やうつ病患者が増加した裏事情についてお話しします。
●行われている治療法の種類
現在医療機関で行われているうつ病に対する治療法は様々です。
〇薬物療法
うつ病には三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノンアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などがあります。
(1)三環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬は、1950年から使われているもっとも古い抗うつ薬で長らく使用されてきましたが、口喝、便秘、尿閉、不整脈といった副作用があり、新薬の開発も進められて今ではあまり使われません。
(2)四環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬の副作用の軽減を目的に作られたのが四環系抗うつ薬なのですが、うつに対する効果自体落ちてしまったためうつ病にはあまり使用されないのですが、深い睡眠を得られるため睡眠薬として使用されています。
(3)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
SSRIの特徴としましては、セロトニンを増やすための薬で、さらにセロトニンの再取り込みを防いでくれます。セロトニンは分泌されて役割を果たすと回収されてしまいます。再取り込みが行われなくなると放出されたセロトニンはそのまま残り作用続けるので、効果を最大限に発揮することができると言われています。
◯電気ケイレン療法
電気ケイレン療法とは、患者に麻酔をかけ眠らせた状態で頭の左右こめかみ部に電極を当てて電気を流していく方法です。
これは偶然発見された治療方法であり、どうして効果があるのかは未だ解明さすれていません。脳に電気を流すことにより神経を刺激し脳内伝達物質の分泌を促すからという説もあります。
しかし、電気を流すことにより一時的なもの忘れや骨折を起こす恐れがある為、最近ではあまり行われなくなりましたが、自殺の恐れがある急を要する患者、重度な患者、薬が効かない患者には有効なので、また治療法の一つとして見直されてきました。
◯鍼灸治療
うつ病は昔から存在する疾患で、あるうつ病にかかったという武将が、鍼治療で改善したという文献が残っています。
また最近だとアメリカのアリゾナ大学の研究でうつ病患者に鍼灸治療を施したところ、70%の患者が症状を半分以下まで減少する事が出来たという結果を発表しました。
うつ病を患っているほとんどの方は自律神経の乱れがあります。自律神経が乱れると、身体の様々な不調を起こしてしまいます。例えば、自律神経の交感神経が過剰に働いてしまうと長時間血管が収縮し続けるといった状態になってしまいます。そうすると、身体中の細胞や脳に栄養が行き渡らなくなり、心身の様々な症状が現れてしまいます。
しかし、鍼やお灸でつぼを刺激することにより、副交感神経を活性化させ、自律神経のバランスを正常に整える事ができます。自律神経の乱れを整える事により脳の神経伝達物質の分泌を正常にする事が出来ます。
●うつは薬が開発されてから増えた?
うつ病は年々増加傾向ですが、1999年から2006年までの6年間で患者数が2倍以上に急増しています。
実は、新型の抗うつ剤であるSSRIが導入された年も1999年なのですが、SSRIの販売数とうつ病患者数の急増は相関しています。
しかし、なぜ新型の抗うつ剤が導入されたにも関わらずうつ病患者が増えたのでしょうか?
そこには、製薬会社の啓発活動が関係しています。
それまでは、軽度のほとんどのうつはうつ病して診断される事はなかったのですが、そもそも、医療機関を訪れる事自体が稀少でありました。そこで、製薬会社がうつ病は早期の薬物療法が不可欠という啓発活動を行い、以前まで病気という概念がないものまで掘り下げて病気にし薬の売り上げを伸ばすためという背景があります。
また、うつ病など医者が今まで病気として判別していなかったものに対して、安易に病名をつけてしまい、うつ病という病気が世の中に認識され知れ渡るようになった事で、自分もうつ病ではないかと思い込む人が増加しので、統計的に患者数が増えたと考えられます。
●最近行われているうつ病の研究とは?
最新のうつ病の研究で、胃薬がうつ病に効くという事が発表されました。
岡山理科大の研究で、ネズミに胃薬でもあるテプレノンを投与した結果、ネズミのうつ状態が改善したというのです。
テプレノンは脳内でヒートショックプロテインというタンパク質を増やし、それにより脳神経由来の栄養因子を増やすからだと言われています。
しかし、うつ病患者に処方しどのような効果が見られるかまだまだ研究を重ねる必要があります。
うつ状態、うつ病にお困りの方は専門治療院でもある渋谷α鍼灸整骨院にご相談下さい。