効果的な腱鞘炎治療とは?
以前のコラム「そんな治療で本当に治るの?腱鞘炎治療の現状①,②,③」では、一般的に考えられている腱鞘炎についてや、その治療法についてお伝えしつつ、効果的な腱鞘炎治療がなかなか無いという現状をお伝えしてきました。
私自身、腱鞘炎治療に苦労していた中、とても効果の高い筋膜調整法と出会い、それからは飛躍的に腱鞘炎の治療効果が上がりました。
具体的にどのような治療方法かという事はまた別のコラムでご紹介しますので、そちらも是非ご覧ください。
その前にまずは今日からは腱鞘炎治療に欠かせないその「筋膜」についてお話しして行こうと思います。
筋膜って何?
ここ数年は筋膜の存在もメジャーとなってきたため、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
筋膜というとボディスーツの図を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、まさにあのように皮膚の下で全身を包んでいるのが筋膜です。
筋膜にはいくつか種類がありますが、一つ一つの筋肉を包む筋膜(筋外膜)、上腕や大腿など大きな区画を丸ごと包む筋膜(腱膜筋膜)などがあります。
そしてそれぞれの筋膜が連結していて、機能的にも相互に影響を与えています。
そのためこれまでは脳の司令によって個々の筋肉が働き、動きや姿勢を作り出していたと考えられていたものが、
実は全て筋膜によって、それぞれの筋肉を協調的に働かせる機能があるという事が分かりました。
筋膜は全身を通して連結しているため、どこかに起こった不具合も、どこかの筋膜でカバーする事ができ、ちょっとの事では身体の不具合(痛みなど)は表面化してきません。
そのためある時あった痛みが、このカバー作用によって「一時的に」無くなるという事も良くあります。
(治ったと思っていた痛みは、実は治ったのではなく、別の場所でカバーしたに過ぎない事が多々あります。)
ですから「今」ある腱鞘炎の痛みも、実は「昔」に作られた筋膜の歪みを、カバーし続けて巡り巡って発生したと考えられます。
だから「腱」そのものには原因は無いんです。
どこかにある「昔」に形成された筋膜の歪みが原因となっているんです。
この筋膜のカバー作用は、腱鞘炎治療において重要なポイントの一つです。
筋膜のもう一つの重要な機能
そしてもう一つポイントがあります。
それは筋膜は感覚器としての機能がある、という事です。
これまで筋膜というのは筋肉を支持するだけの存在と思われていました(日本の医学界ではまだこのレベルで、筋膜は不必要なものとして考えられています、、、)
その後、解剖学的な連結のみならず、機能的にも全身を協調させる働きがあると分かった事は、上に書いた通りです。
実はさらに筋膜には、痛みのセンサー、圧や触覚のセンサー、筋肉の緊張を感知するセンサー、動きを感知するセンサーなどが埋め込まれています。
筋膜の状態が正常であれば、これらのセンサー機能も正常であるため、様々なフィードバック機構もちゃんと機能します。
しかし筋膜に歪みが起こると、これらのセンサー機能にも異常が生じる事となります。
するとちょっと触れたり押しただけで痛みを感じたり、筋肉の過緊張が起こったり、協調的な筋肉たちの働きが阻害されたりします。
痛みのセンサーに異常が起こると痛みを感じるようにななります。
しかも痛みを感じるのは関節付近がほとんどです。
腱鞘炎の痛みも実はこのセンサー異常によって引き起こされているんです。
これがもう一つの筋膜の重要な働きになります。
腱鞘炎と筋膜
筋膜は全身で解剖学的にも機能的にも連結していて、全身の機能を調整している、そして筋膜には感覚器としての機能を有している
という事が、腱鞘炎治療においてとても重要になってきます。
なぜなら何らかの原因で筋膜の歪みが起こると、それが全身に伝わり、その一つとして指の付け根や手首の感覚器の異常を引き起こし、それが痛みとして現れるからです。
腱鞘炎の原因は腱や腱鞘にはありません。
だからその部分にいくら介入しても、腱鞘炎は治りません。
このコラムをご覧の皆様には、どうかこれまでの治療から脱却して、真の原因に対する治療を受けて欲しいと思います。
次回のコラムではこの筋膜に対してどのように介入・治療していくかお伝えしたいと思います。