筋膜調整の具体的な方法とは?
腱鞘炎の根本的な解決には筋膜への介入が必要です。
前回のコラムより、その筋膜調整の具体的な進め方についてお話ししています。前回のコラムでは、「問診」「運動検査」の目的と方法をお伝えしました。
今回は、筋膜調整の中でも特に肝となる「触診検査」「治療」についてお伝えしていきたいと思います。
③触診検査
触診検査は筋膜調整において最も重要な項目になります。
なぜなら最終的に歪みのある筋膜を探し出すには、触診によってのみ発見されるからです。
問診と運動検査で得られた情報をもとに、原因となっている部分を見つけ出すために一ヶ所一ヶ所丁寧に触診していきます。
これが一番時間のかかる部分ですが、関係ないところを治療しても、症状は変化しないため、時間をかけてでもしっかり診ていきます。
歪んだ筋膜部分はザラザラしていて、強い痛みがある事が特徴です。
そういった部分がどこにあるかを見つけていきます。
中には押した痛みはかなり強いけどザラザラしていない部分だったり、痛みは無いけどすごくザラザラしている部分だったり、色々なパターンがあります。
しかし最も重要な意味を持つ場所は、ザラザラが強く、かつ痛みも強い部分です。
手首や指周りには無い事もあり、体幹や肘などに存在する事もよくあります。
このような筋膜の歪みがどこにあるかを把握し、どの部分から治療していくかを決めた上で治療に移っていきます。
④治療
筋膜調整の治療は、「問診」「運動検査」「触診検査」を通して探し出した筋膜の歪みを解消していく事になります。
ただし見つけた全ての歪みを治療していく訳ではありません。
根本的な原因である筋膜の歪みを解消すると、ほかの部分にあった歪みや、前腕や手、指周りの筋膜の歪みなども取れてきます。
これはもともとの歪みが取れる事で、他の部位を歪ます事でカバーする必要がなくなり、正常な筋膜の状態に戻るために起こります。
ですから一ヶ所解消する事で完全に取れる事もあれば、数ヶ所カバーしていた部位を解消する必要がある事もあります。
そのため治療はまず、最も歪みの強い部分から行います。
歪みのある筋膜部分は痛みのセンサーも過敏になっているため、
治療においても最初は強い痛みを感じますが、数分で痛みが軽減あるいは消失するので、ご安心下さい。
方法は徒手(肘や指など)を用いて、歪みのある筋膜をスライドするようにして解消していきます。
※鍼や灸は用いません。筋膜調整をするには徒手が最適だからです。
この筋膜治療はいわゆる「はがす」とか「伸ばす」といった事は行いません。そこが筋膜リリースとは違う部分になります。
あくまでも筋膜の歪みを解消することで、各種センサーの機能を正常化させるという事がこの治療の肝です。
また治療中、関連痛(治療している部位とは違う離れた部位に感じる痛み)が出ることもあります。
この場合、関連痛を感じてる部分にも原因に関わっている筋膜の歪みが存在している可能性があるので、後ほどチェックしていく事もあります。
あるいは、その痛みがそう言えば昔にあった痛みと同じだという事で、問診時には忘れていた過去の痛みを思い出すことも良くあります。
過去の痛みが筋膜の歪みに深く関与する一つの現象ですね。
一ヶ所ずつ治療し、運動検査と触診検査で効果を確認しながら、次の部位へ移って行き、最終的には腱鞘炎の痛みが軽減や消失するまで、あるいは筋膜の歪みが解消されるまで治療を行なっていきます。
ただし稀にその場では痛みの軽減が少なかったり、動きの改善が少ない事もあります。
ですが治療による炎症反応が終わる2〜3日後に大きな改善が見られる事もよく見られますので、最低でも4〜7日は様子を見て頂きます。
今回は筋膜調整の肝となる部分についてお伝えしていきました。
次回のコラムで筋膜調整については最後になります。
筋膜調整後に起こり得る身体の変化や注意事項についてお話しするつもりです。