腱鞘炎は一回で治らない事もあります
これまでのコラムでは、腱鞘炎の本当の原因や治療法、そして原因である筋膜についてお伝えしてきました。
その中でなかなか腱鞘炎が治らない理由、治療してその場では良くなるのにすぐに戻ってしまったり再発してしまう理由などにも触れてきました。
そして例え今は腱鞘炎になっていなくても、どういった人が腱鞘炎になりやすいのか、そしてどういう人の腱鞘炎が治りづらいのか、についてもお伝えしてきました。
腱鞘炎になりやすい人、なかなか治りづらい人について、なぜその特徴をお伝えしてきたかと言うと、それは早めに治療を受けて欲しいと思っているからです。
これまで多くの方を治療してきた中で、もっと早く来てくれれば良かったのにと思う方が本当に多くいらっしゃいます。
例えば最初に少し違和感を感じた時点で治療をしていれば、日常や仕事に支障が出る前に対処できたはずだと思います。
ですが多くの方は痛みがピークになって、動かす事も困難な状態になって初めて来院されます。
更には仕事や日常でどうしても強い負荷が避けられない状況にある人も多いです。
そのような状態・状況にも関わらず、一回の治療で、しかもその場で全ての痛みが取れる事を望まれます(信じられないかもしれませんが、本当に多いです)。
お気持ちは痛いほどよく分かります。
もちろん治療は全身全霊で臨みます。
ですが一回で取れる場合もあれば、どうしても完治までに数回の治療が必要な場合もあります。
なぜならそれは筋膜の歪みの程度と、ご自身の自己回復力の影響を受けるためです。
そのため、痛みがピークになる前に、ぜひ一度治療を受けていただきたいと思います。
なぜ早めの治療を勧めるのか?
では筋膜調整の専門家として、そして多くの方の腱鞘炎治療を行ってきた経験から、なぜ早めの治療が必要かについて説明させて頂きます。
早めの治療が必要な理由は、主に次の5つです。
①炎症終了後まで効果が現れない事がある
②一度で全てが解消されない事もある
③炎症終了後に隠れた筋膜の歪みが出てくる事がある
④症状が軽い内の方が仕事や日常への支障が少ない。
⑤内臓に不調があると改善に時間がかかる
一つずつもう少し詳しく説明していきます。
①炎症終了後まで効果が現れない事がある
筋膜調整では、筋膜の歪みに対して徒手を用いて炎症反応を起こします。
筋膜調整を行った直後に、筋膜の歪みである「線維の高密度化」「基質のゲル化」「ヒアルロン酸の凝集」が解消されます。
(詳しくはコラム「筋膜の歪みによって起こる腱鞘炎、でも筋膜の歪みって何?知識の有無で症状改善にも差が出ます①,②」もご覧下さい。)
そして筋膜の機能が正常化し、筋膜に埋め込まれている痛みのセンサーも正常化すると、腱鞘炎の痛みは消失します。
しかし治療直後にこれらの変化が全て出ない事もあります。
場合によってはその場ではほとんど変わらないケースもあります。
しかしそういう場合でも、治療によって起こった炎症が終わる(2〜3日後)と、筋膜の線維配列と基質やヒアルロン酸の状態が正常化するため、症状の改善が見られる事もあります。
治療直後は分からなかったけど、4日経ったら良くなった、というお声も良く聞かれます。
そのため例えば明日までに痛みを取って欲しい、
あるいは仕事や日常に支障が出るので今すぐに痛みを取って欲しい、
と言ったご要望に必ずしもお答え出来るとは限らない、と言うのが正直なところです。
これはご自身の自己回復力にも依存するため、回復力が遅い方だとそれだけ効果が現れるまで時間がかかる事もあります。
そして回復と言う点では、炎症が起きている間は線維の配列を正常に行わせるために、強い負荷をかける事はどうしても避けてもらう必要があるという事もあります。
ですので、喫緊の改善が必要な状況だったり、すぐに強い負荷をかけざるを得ない状況になる前に、少しでも違和感を感じた時点で治療を受けられた方がいいかと思います。
そのうちにすぐに治ると思った、という方も多いかもしれません。
しかし放っておけば確実に筋膜の歪みは進行していきます、、、
さてまだまだ途中ですが、長くなりそうなので、続きは次回のコラムでお伝えしていきます。