不妊とは
不妊とは、生殖年齢を迎えた健康な男女が性交しているのにも関わらず、一定期間妊娠が成立しないことを指します。「一定期間」とは1年が一般的と日本産科婦人科学会が定義しています。しかし、卵管閉塞、子宮内膜症、子宮筋腫、高度精子異常、造精機能障害など、医療介入が必要な場合は、「絶対的不妊」となります。妊娠を希望する男女は、早めに医療機関で検査をし、身体に異常がないかを調べることが大切です。
今回のコラムは不妊症に悩む女性の皆様に向けた内容となっています。
不妊症になりやすい人
月経に異常がある方
月経異常とは月経周期が極端に長かったり、短いすぎたりすることや指します。前回の生理から39日以上あいたり、24日以内に次の生理がきてしまう場合は注意が必要です。排卵がきちんと行われていない可能性があります。また、周期のみならず、月経の量が多すぎたり、少なすぎるなど、異変を感じたら早めに病院に受診しましょう。毎日基礎体温をチェックすることで、排卵しているかどうかを確認、予測することができます。
以前に子宮の病気を指摘された方
子宮内膜症や子宮筋腫などと診断されている場合は、早めの受診が必須です。軽度の子宮内膜症の場合、自然に妊娠確率は十分にあります。しかし、症状が悪化することによって、卵巣や卵管に悪影響を与えてしまうと不妊の原因になります。子宮筋腫も大きく不妊に影響することは少ないですが、子宮筋腫の位置や大きさにより不妊のリスクが上がります。月経時に何らか以上がみられた場合は、しっかりと検査をし、早めの治療をしましょう。
性感染症
クラミジア感染症、淋菌感染症などの性感染症によっても不妊の原因となります。これらは自覚症状がない場合が多く、気づいた時には症状が大きく広がり、重症化していることがあります。子宮内や、卵管、骨盤内まで広がり、治療をしなければ妊娠ができない場合があります。
加齢による影響
自然妊娠は30歳を超えてから徐々に低下し、35歳くらいから急激に低下すると言われています。また、妊孕性の低下や、婦人科系疾患になるリスクの増加があげられます。しかし、月経のリズムを整えることや、子宮内環境の改善、生活環境の見直しをすることで、年齢関係なく自然妊娠することは可能です。
東洋医学と不妊治療
五臓六腑の「腎」は成長、発育、生殖に大切な役割を担っており、生命エネルギーを貯蔵する場所とも言われています。腎の機能が低下すると、生殖能力が低下し、身体のいたるところの衰えが目立ちます。腎の機能を高め、人間の生命力や生殖力を向上させてることで、妊娠力を高め、妊娠しやすい体づくりを目指します。不妊症の中には原因不明のものもあります。東洋医学の観点からみると、血流の悪さ、体の冷えなどがあげられます。女性に多い冷え性や、血流の悪さは生殖器にも影響し、血液が上手く循環されないことにより、受精卵が着床しにくい状態になります。鍼灸はこれらの改善には最適の施術であり、健康な身体の土台作りをすることによって、さらに妊娠の確率が上がります。
鍼灸を用いた不妊治療
鍼灸での不妊治療は主に以下のツボを刺激します。
●三陰交(さんいんこう)
足の内側くるぶしから指4本分上。
●関元(かんげん)
ヘソから指4本分下。
冷え性に効果的なツボで、生理痛や生理不順、そのため婦人科系疾患に効果が高いツボです。
仙骨の上にある
●上髎(じょうりょう)
●次髎(じりょう)
●中髎(ちゅうりょう)
●下髎(げりょう)
からなる左右4つづつあるツボ、
『八髎穴 (はちりょうけつ)』も不妊治療中の方や、妊娠前後に施術すると効果的なツボです。
自分でできること『妊活』
適正体重の維持
太り過ぎや痩せ過ぎなど、体重が偏りは不妊に影響します。身長と体重からBMI値を算出し、しっかりと自分の適正体重を把握しましょう。
適度な運動
次の日に疲れが残らない程度に、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動をしましょう。基礎代謝が向上し、身体の体温が上がったり、脂肪がつきにくい身体になります。また気分が晴れ、ストレス発散効果があります。
バランスの良い食事と栄養素
妊活に必要な栄養素はタンパク質、ビタミン、鉄、亜鉛、カルシウム、葉酸を意識してバランスよく摂取しましょう。しかし、これらを食事で十分に摂ろうとすると無理があります。足りない栄養素はサプリで補うことを推奨されています。
最後に
妊活をする上で冷えは大敵です。上記のように食事や運動で冷えを内側から改善するとことや、手足やお腹周りを温めるなど意識的に身体を温めましょう。鍼灸での妊活は非常に有効的であり、冷え性や子宮内を整えること、心身のストレスの改善を助け、妊娠力を高めます。お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。