痺れとは
痺れとは、振動などの感覚、熱さ冷たさなどの温度の感覚、痛みの感覚などが鈍くなることです。また、ピリピリ、チクチク痛みやジンジンと灼けつくような感覚になることも痺れと言います。力が入らない、動きが鈍いなどの症状も痺れと表現します。
両手両足、右半身、左半身、上肢、下肢など、痺れが現れる場所、痺れ方によって様々な病気があり、痺れの原因がどこにあるのかが異なります。生活に支障をきたすような痺れ、異常な痺れを感じたら早めの受診をおすすめします。
腕の痺れで考えうる病気
胸郭出口症候群
腕を上げた時や、動かした時に手や肩、腕、肩甲骨周辺に痺れや痛みを感じる症状です。胸郭出口とは首と胸の間にある通り道で、その胸郭出口が何らかの動作をした時に神経や血管が圧迫されて起こる神経の病気です。なで肩の女性や、筋肉を鍛えている男性に多い病気です。
手根菅症候群
指や手全体が痺れる症状です。手首の神経が圧迫されて起こる病気です。妊娠、出産経験のある女性、閉経直近の女性に多く見られるため、ホルモンのバランスの崩れや、女性ホルモンの減少が関係していると言われています。またスポーツや仕事などでの手の使いすぎや、近年ではスマホの使いすぎが原因となる場合もあります。
頚椎症性神経根症
手や腕の痛みや痺れが現れます。神経根や脊椎が圧迫され起こる病気です。加齢による老朽化減少で頚椎が変形していることが影響しているとされています。
肘部管症候群
肘の内側にある尺骨神経が圧迫されて起こる病気です。手首のから小指、薬指側に痛みや痺れが起き、細かい作業ができにくくなります。加齢による骨の変形や、子供の頃の骨折による骨の変形、スポーツや重労働など肘の酷使により起きやすくなります。
腕の痺れには主に上記のような病気があげられます。ほかにも脳梗塞、脳卒中、糖尿病など、命に関わる危険性がある病気の発症かもしれません。
腕の痺れに対する西洋医学の治療法
患部の炎症が強い場合は炎症を抑えるための薬物治療、痛みが強場合は痛みを抑えるブロック注射を行います。また、痺れや痛みの原因となっている、筋肉や関節のストレッチや体操などの運動療法や、微弱の電流を身体に流す、電気療法を行い、動きの悪い筋肉の血流の促進や、筋肉の硬直の緩和をする治療も行います。患部の代謝が良くなり、痛みの軽減や不快感に効果的です。
腕の痺れと東洋医学の考え
東洋医学の考え方では腕の痺れの原因は「気血」が滞っていることで起こる症状とされいます。「気」とは人間が身体を動かすエネルギーの根源とさせており、血液や臓器、神経系や内分泌系などに働いています。「血」とは血液のことを指し、ホルモンバランスを整えたり、全身に酸素や栄養を運ぶ役割を担っています。気血が滞ると、筋肉が硬くなりコリに繋がります。その状態が続くと、筋肉やその周辺の関節が劣化し、神経の圧迫によって痺れとなり病気に繋がるのです。気血の滞りを改善し、全身の血流がよくなることで、神経への障害を改善することができます。
当院の施術法
鍼やお灸を用いて、痛みや炎症を緩和させる施術とともに手技療法によって、筋肉の緊張を緩める施術を行います。以下のツボが主に腕の痺れに有効的であるため、アプローチしていきます。
●大陵(だいりょう)
内側手首の中央で1番へこんでいる場所。
●四とく(しとく)
手の甲側にあり、手首から肘の間の中央。
●外関(がいかん)
手の甲側、手首の真ん中きら指3本分下。
●曲池(きょくち)
肘を曲げた時にできるシワの1番外側の端。
●臑兪(じゅゆ)
脇から斜め上にいき、肩の骨とぶつかる部分。肩関節付近。
●陽輔(ようほ)
外側のくるぶしから指5本分上。
予防と対策
簡単ストレッチ
長時間同じ姿勢や、上半身への負荷がかかったときには、ストレッチをして身体の緊張をほぐしましょう。 手の平が外側になるように組み、背のびをするように上に伸ばします。そのまま左右にも伸ばしましょう。同時に首もしっかりと反らすことにより、より正しい位置になります。
正しい姿勢
片足重心、足を組む、猫背、肩が内側に入っているなど、体の重心が左右に偏っていたり、筋肉が正しい位置についていないなど、正しい姿勢が崩れてしまうと腕に負荷がかかります。気がついた時には姿勢を意識しましょう。
最後に
腕は日常生活でよく使う部位です。日常生活に支障をきたす痺れは、生活の質を落とし、精神的なストレスを引き起こします。早めの治療と、日頃の対策をしっかりと行いましょう。当院には経験豊富な鍼灸師が在籍しております。腕の痺れでお悩みの方や、病院の治療と並行して鍼灸を試したい方など、ぜひご相談ください。