こむら返りとは
「こむら」とはふくらはぎを指します。
ふくらはぎの筋肉が痙攣し、足がつる症状です。医学的用語では「有痛性筋痙攣」と言います。主に就寝中や運動中に起こりやすく、激痛が走ります。大抵の場合、数分で治ります。水泳中など危険な場所での発症は非常に危険です。日頃から対策をし、こむら返りになりにくい体質に改善しましょう。
こむら返りの原因
こむら返りは主に高齢者の方がなりやすく、慢性的な運動不足が原因とされています。そのほかにも、水分不足、冷え、栄養素不足、足の過度な筋疲労によっても引き起こされます。
また、妊娠中の方も起こりやすく、体重が増加したことによる足への負担、足の血流の滞り、ホルモンバランスの変化、血液が薄くなることが筋肉の痙攣の原因とされています。
こむら返りが頻繁に繰り返されるときは、重篤な病気のサインかもしれません。腎疾患、下肢静脈瘤、甲状腺機能低下症、脳梗塞、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、糖尿病など様々な病気の症状としてこむら返りが発症することもあります。異常を感じたら、早めの受診をおすすめします。
病院での検査と治療法
検査方法
血液検査や尿検査を行い、電解質の異常、脱水状態、肝機能、腎機能、甲状腺機能性について精密に確認します。そのほかにも心電図や神経、筋肉に異常はないかを検査します。
治療法
筋弛緩剤(筋肉を緩める薬)が処方されることが一般的です。
東洋医学と鍼灸の施術法
上記の治療薬、筋弛緩剤とともに処方されることが多い「漢方薬」があります。それは「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。筋肉の痙攣を抑えて、緩めてくる作用があります。即効性があり、痛みを軽減してくれます。
東洋医学の考え方ではこむら返りが起こる原因として、「気」「血」「津液」の不足や滞りが考えられます。「気」とは私たちが生きる上で必要な生命活動を支えており、「血」は血液はもちろん、身体の隅々まで酸素や栄養を届けてくれる働きをするもの、「津液」とは水分の調整をする働きを指します。
この3つはバランスが非常に大切で、バランスが乱れると身体的、精神的に不調が現れます。芍薬甘草湯では、不足した気、血、津液を補い、スムーズに働くよう促す効果があります。
鍼灸ではこむら返りの原因別に施術法が異なります。お一人お一人に合わせた施術を行い、鍼灸にて症状の改善を目指します。
『肝血虚(かんけっきょ)』
肝とは五臓六腑の一つであり、「筋をつかさどる」といわれて、筋肉に関係しています。また、肝の血が不足している状況であるため、血を補い、肝の働きを正常にする施術が行われます。
『血虚血瘀(けっきょけつお)』
血行不良が原因でこむら返りが起こっている状態を指します。血虚はストレスや疲労、乱れた食生活、血瘀は運動不足、生活環境、生理機能の低下などで起こります。血液の循環を整えて、血行促進を行う施術を行います。
『寒湿(かんしつ)』
身体の冷えが原因の場合です。寒さと湿気が下半身で滞り、血流を妨げます。身体を内側から温めて、体温を上げ、湿気を取り除く施術を行います。
『腎陽虚(じんようきょ)』
高齢者に多いタイプです。「腎」とは人が生きる上で必要な、成長や発育、生殖に関わる重要働きを担っています。体力の低下や、冷えを改善し、腎の機能を高める施術を行います。
こむら返りになった時の対処法と予防
こむら返りになったときの対処法
●患部を温める
●ふくらはぎのマッサージ
●ふくらはぎの筋肉の伸ばすストレッチ
● ツボ押し
「承山(しょうざん)」
ふくらはぎの中央に位置し、左右の筋肉の間。
「足三里(あしさんり)」
膝の皿の左右のくぼみのうち、外側のくぼみから、指4本分下。
「陽陵泉(ようりょうせん)」足の外側にあり、膝の皿の斜め下にある骨の、へこんでいる部分。
日頃の予防法
●運動前後の念入りなストレッチ
●こまめな水分補給
●湯船に浸かり体を温める
●就寝前コップ1杯の水を飲む
●足を温めるために、靴下等を履いて寝る
●食事では補きれないマグネシウムやカルシウムなどのミネラルをサプリで補給する