日本では成人の約2割が睡眠になんらかの問題を抱えていると言われています。睡眠障害とは、睡眠の異常から生活に支障のある状態の総称ですが、症状や病態はいろいろあります。
睡眠障害は大きく分けて7種類
不眠症
寝付きが悪い、ぐっすり眠れないなど
中枢性過眠症群
ナルコレプシーなどの過眠症
通常ならば寝てはいけない重要な場面でも我慢できないほどの強い眠気に襲われたり、突然眠ったりすることが特徴
睡眠関連呼吸障害群
睡眠中に何度も呼吸停止が起こり、覚醒反応が生じる
概日リズム睡眠・覚醒症候群
適切な時間に寝たり、起きたりできない
睡眠時随伴症群
夢遊病など睡眠中に異常行動を起こす
睡眠関連運動障害群
足がむずむずしたり、ほてったりしてよく眠れない
その他の睡眠障害
睡眠にともなう頭痛やてんかんなど
次は不眠症と過眠症について紹介します
一般に睡眠障害というと、寝付きが悪い(入眠障害)、夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)、早く目が覚める(早期覚醒)、熟睡した感じがしないなど、眠れない状態を想像しがちです。これらはすべて不眠症の症状で、本人が自覚できるケースが大半です。
一方、日中強い眠気に襲われ、起きていられなくなってしまう過眠症も不眠症と同じくらいみられます。過眠の症状で最も多くみられるのは、睡眠時無呼吸症候群からの過眠です。就寝中たびたび呼吸停止が起こり、覚醒反応が現れるため熟睡できず、日中の眠気が発生します。睡眠時無呼吸症候群で最も多い症状は、実は日中の眠気なのです。
不眠と過眠は別々の病気として分類されますが、実際には表裏一体の関係です。過眠や日中の不適切な生活習慣により、夜に不眠になることは珍しくないのです。眠れないだけでなく、眠くて仕方ないのも睡眠障害です。
睡眠不足でネガティブな感情に過剰反応します
人は睡眠不足が続くとイライラして怒りっぽくなってしまいます。
脳には感情が暴走しないようにブレーキをかける、前帯状皮質と扁桃体があります。しかし睡眠不足の状態では、それらのブレーキがかかりにくくなることが明らかになったのです。
周囲の人のちょっとした言動がやたらと気に障ってイライラしてしまう時は、睡眠が足りていないからかもしれません。たった2日間程度の睡眠不足でも、ブレーキがかかりにくくなる変化がみられたとの報告もあります。
また、睡眠を減らすと翌朝のポジティブな気持ちが減少してしまうこともわかっています。
ポジティブな感情が失われることは、うつ病など多くの心の健康にも関わります。質の良い睡眠はイライラを抱え込ませず、気持ちを前向きにさせてくれる、よりよい生活に欠かせないのです。