耳のはたらきと構造
耳には大きく分けて「音を聞く」と「体のバランスを保つ」という働きがあります。耳は外耳、中耳、内耳の3つの部分に分かれています。
外耳と中耳は外から入ってきた音を内耳に伝える働きをしています。その音を内耳の「蝸牛」と呼ばれる部分で感じ取り、電気的な信号に変換された後、蝸牛神経を経て脳に伝えられます。音は単なる空気の振動です。その音をとらえるとき、まず耳介が音を集め、外耳道で共鳴させながら聞き取りやすくして鼓膜に伝えています。鼓膜に伝わってきた音を耳小骨でさらに増幅し、内耳にある蝸牛に達するときには、最初に耳介で重音されたときに比べ、およそ20倍にも増幅された音になっています。
メニエール病とは?
メニエール病とは自分や周りがぐるぐる回る回転性めまいと、通常は片耳の難聴、耳鳴りを主症状とする疾患です。
突然激しい回転性のめまい発作に襲われ、難聴や耳鳴り以外に吐き気や嘔吐、腹痛などの症状も伴います。発作時は立っていることができず、じっと横になっているしかありません。不定期にめまい発作を繰り返すことも特徴です。耳閉感や耳鳴りを感じるようになり難聴へと至ります。
メニエール病の発症には身体的ストレス、精神的ストレスが関係しているとも言われています。
メニエール病の特徴
激しい回転性のめまい
10分〜数時間のめまい発作
めまい、難聴の発作を繰り返す
低音の難聴から始まる
メニエール病は突発性難聴と症状が似ています。
メニエール病はめまいと難聴の発作が不定期に繰り返し発生しますが、突発性難聴は繰り返しません。メニエール病は低音から聞こえづらくなりますが、突発性難聴は突然の強い難聴に見舞われるのが特徴です。
きっかけは共通しており、ストレスや疲労、睡眠不足などによって発症します。
メニエール病のメカニズム
メニエール病の原因は、内耳の内リンパ液が増えすぎることが関係していると考えられています。
内耳には、体のバランスをとる三半規管や耳石器、音を感じ取る蝸牛などがあります。これらは内リンパ液という液体で満たされており、この内リンパ液が増えすぎることで、三半規管の働きが障害されてめまいが起きます。また蝸牛にも影響して難聴や耳鳴りが起こります。
メニエール病の鍼灸治療
メニエール病の発症にはストレスや過労が関係していると考えられているので、まずは自律神経のバランスを整えて全身の調整を図ります。
また内耳の血流不足による浮腫みを改善するにあたり、首肩周り、耳周りのツボに鍼を施し血流を改善させます。
首周りの治療穴
天柱・風池・完骨
耳周りの治療穴
翳風・耳門・聴会・聴宮
メニエール病は生活習慣の改善も大切です。過度なストレスは自律神経を乱してメニエール病の原因となるため鍼灸治療では交感神経の過亢進を抑制しリラックスした状態へと導きます。
自律神経のバランスが整うことで睡眠の質も安定し、症状の回復に繋がります。