顔面神経麻痺とは
顔面神経麻痺とは初期症状として通常、顔のどちらか半分が自分の意思で動かせなくなってしまうことを言います。多くはある日突然片方の動きが悪くなります。12対ある脳神経の第7番目にあたる神経が障害されると表情筋に何らかの問題が起こります。
中でもベル麻痺は、顔面神経麻痺の60%を占めます。続いて多いのがハント症候群です。ここに当てはまらないものは、中耳炎による麻痺や、外傷、腫瘍、先天性麻痺、ライム病、ギランバレー症候群などから起こるとされています。
発症してから3日以内に病院へ受診することで完治するか、後遺症を残してしまうかの分かれ道になると言われています。
麻痺の度合いが軽度で合併症がなければ、自然に治ることもあります。ですが、麻痺が進行していくほど治療が難しくなり、治療期間も長くなってくることが多いです。
自分で判断せず、表情の動かしづらさを感じたらすぐに病院を受診することをお勧めします。
ベル麻痺とは
ベル麻痺の発症率は10万人あたり10〜40人と言われています。単純ヘルペスウイルスの感染が原因とされています。
疲れやストレスを感じ、体の免疫機能が低下した場合に体の中で大人しくしていたウイルスが再活性化することにより発症すると言われています。
初期症状は耳の後ろや耳の下あたりに痛みを感じる事が多いです。ですが、前兆がなく突然発症する場合が多く見受けられます。
筋肉の症状として起こるのが閉眼困難により目が充血してしまう兎眼(ベル現象)、鼻唇溝消失、口角の下垂、額のシワ寄せが片方だけできない、もしくは困難になってしまいます。
他にも舌の前⅔の味覚障害、涙や唾液の分泌障害、聴覚過敏、耳痛などの症状が見られます。
ベル麻痺は早期治療で約90%が完治しています。
ハント症候群とは
ハント症候群の原因は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化により引き起こされます。水筒・帯状疱疹ウイルスは顔面の知覚神経節である「膝神経節」に潜伏しています。ベル麻痺と同様、免疫機能が低下することにより起こるとされています。
症状はベル麻痺におこる動きづらと、難聴、めまい、耳鳴り外耳炎などを合併します。3大症状といわれるくらい「顔面神経麻痺」、「耳痛」、「耳介の皮疹」は出やすいです。
早期治療で約70%が完治しています。
ベル麻痺との大きな違いはハント症候群は麻痺だけでなく、難聴や耳の横に帯状疱疹などができることです。そして合併により後遺症を残す可能性が高いです。
後遺症としては損傷されれた神経の回復する過程で、涙っぽく食事などで咀嚼したときに涙が出る「ワニの涙現象」や、顔のこわばりやゆがみ、意に反して目や顔が動くといった症状が見られたりします。
病院での診断と治療法
耳鼻科で診断、治療されることが多いです。
診断で用いられる方法としては柳原法がよく使われます。
柳原法とは、安静にした時の顔の左右対称性に点数をつけ評価をしていきます。
一般的には顔面神経の炎症を抑えるためステロイドホルモンを経口や点滴で使用します。
重症度によっては鼓膜経由で顔面神経に近い鼓室に投与する場合もあります。
鍼灸での治療法
顔面神経の走行、支配筋肉に基づき翳風、四白などの経穴を使い刺激を入れていきます。
主に顔面神経が支配してるのは顔の表情を動かす眼輪筋、頬筋、頬骨筋、口輪筋、口唇筋などと、広頚筋、アブミ骨筋、茎突舌骨筋、顎ニ腹筋後枝などです。
顔面神経麻痺の局所治療と共に、発症時は免疫機能が低下し自律神経の乱れが見られる事が多いため、全身のバランスの改善をしていきます。自律神経が乱れると背中が硬くなる傾向にあるため、背部の硬さをとりリラックスした体を作っていきます。他にも合谷や三陰交など手足のツボも使い全身のバランスを調節していきます。