アトピーとは
アトピー性皮膚炎(アトピー)は、かゆみのある湿疹が慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の疾患です。アトピーはかゆみ、湿疹、乾燥などが主な症状として見られます。
多くは乳幼児期に乳幼湿疹として発症し、年齢が進むとともに異なった皮膚症状を呈する広範囲の湿疹性皮膚疾患です。
本来は思春期頃までに軽快することがほとんどだが、成人まで持ち越すことや、成人で発症する場合もあります。
主な原因
アトピーの原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。その中でも特に、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症することが多いと考えられています。
・遺伝的要因:アトピー体質と呼ばれる遺伝的素因を持つ人が発症しやすいと言われています。
・皮膚のバリア機能低下:角層のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなっています。
・アレルギー体質:ダニ、ハウスダスト、花粉などのアレルゲンに過剰反応しやすい体質です。
・免疫機能異常:本来であれば体を守るはずの免疫システムが、誤ってアレルゲンを攻撃してしまうことがあります。
・環境要因:ストレス、汗、乾燥、入浴など、様々な環境要因が症状を悪化させることがあります。冬から春にかけて悪化することが多いです。
アトピーの診断
アトピー性皮膚炎の診断基準は、日本皮膚科学会によって定められています。診断基準は以下の通りです。
・三大症状をすべて満たす
・慢性あるいは慢性に繰り返し起こる湿疹
・かゆみ
典型的な皮疹の部位と分布
二十三項目のうち、三項目以上を満たす
・乳児期(2歳未満)に湿疹が始まった
・乾燥性皮膚
・さめ肌
・IgE高値
・食物アレルギー
・吸引性アレルギー
・皮膚感染症の反復
・白内障
・角膜結膜炎
・掌蹠紅皮症
・苔癬化
・悪性毛包炎
・リンパ節腫大
・アトピー性皮膚炎の家族歴
・偏食
・汗疹
・冬季悪化
・掻破痕
・寒冷刺激
・精神的ストレス
・月経前悪化
・汗による悪化
・脂漏性皮膚炎
三大症状と二十三項目の合計三項目以上を満たす場合、アトピー性皮膚炎と診断されます。
アトピー性皮膚炎は、原因が完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
予防方法
アトピー性皮膚炎の改善に役立つ具体的な方法がいくつかあります。
・入浴は、ぬるめのお湯で短時間に行い、保湿剤をしっかり塗る。
・肌に刺激を与えるような石鹸や洗剤は避ける。
・爪を短く切って、掻き傷を作らないようにする。(できるだけ掻くことを避ける。)
・肌着は、綿などの天然素材を選び、通気性の良いものを着用する。
・汗をかいた場合はすぐに清潔なタオルで拭き、肌を清潔な状態を保つ。
・ハウスダストやダニなどのアレルゲンをできるだけ避ける。
バランスの取れた食事を摂るようにし、ヒスタミンを多く含む食材や刺激物、加工食品などはできるだけ避けるようにした方がいいでしょう。
鍼灸施術
近年、アトピー治療における鍼灸治療への注目が高まっています。
東洋医学では、アトピーは体内のバランスが崩れ、血行不良や内臓機能低下などが原因と考えられています。
鍼灸治療は、ツボを刺激することで気の流れを整え、血行を促進し、内臓機能を活性化させるとされています。
また、自律神経のバランスを整えることにより症状の出にくいお身体作りや体質改善も期待できます。
アトピーが鍼灸施術で改善される期間は、症状の程度、体質、生活習慣、治療頻度などによって、効果が現れるまでの期間は異なります。
一般的には、数ヶ月から数年程度かかることが多いようです。短期間で効果を実感できる場合もあれば、なかなか改善が見られない場合もあります。
そのため患者さん一人ひとりに合った治療法を見つけることが大切です。根本的な治療法はまだありませんが、東洋医学に基づいた鍼灸などの治療法は、アトピー体質の改善と症状の緩和に有効な手段の一つとして期待されます。