躁鬱とは
躁鬱病(双極性障害)は、気分の極端な変動を特徴とする精神障害で、躁状態と鬱状態を繰り返します。
躁状態では異常なまでに高揚し、エネルギーが増し、自信過剰や衝動的な行動を取ることがあります。一方、鬱状態では極度の悲しみ、無力感、興味や喜びの喪失が現れます。これらの気分変動は個々人により異なり、症状の重さもさまざまです。たとえば、軽い躁状態(軽躁状態)では、気分が良く活動的になる程度で生活に支障が出ない場合もありますが、重度の場合には入院が必要なこともあります。
セルフケア方法
躁鬱病のセルフケアには、気分の安定化を図るための日常的な対策が含まれます。
まず、規則正しい生活習慣が重要です。一定の時間に起床し、寝ることや、バランスの取れた食事を心がけることで、体内リズムを整えます。定期的な運動も、気分の安定に寄与します。また、過度なストレスを避けるために、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、ヨガなど)を取り入れることも効果的です。
次に、自己観察を行い、自身の気分の変動を日記やアプリで記録することが推奨されます。
これにより、症状の早期発見や、医師とのコミュニケーションが円滑になります。また、信頼できる人々とのコミュニケーションを保つことも大切です。家族や友人にサポートを求め、定期的に気持ちを話すことで、孤立感を軽減できます。自己管理が難しいと感じた場合は、専門医やカウンセラーに相談することが重要です。
病院での治療法
躁鬱(双極性障害)の病院での対応は、診断、急性期治療、長期的なフォローアップ、生活習慣の管理、再発予防の5つの柱で構成されます。
まず、精神科や心療内科で専門医が診断を行い、主に気分安定薬を使用した薬物療法を開始します。症状が重度の場合は入院治療が行われ、24時間の監視下で安全を確保します。病状が安定した後も定期的な通院とカウンセリングが必要です。生活リズムを整え、ストレスを管理することで、再発を防ぐことが重要です。家族の支援も治療において大きな役割を果たします。再発の兆候が見られた場合には、早期に医師に相談し、適切な対応を取ることが求められます。
躁鬱に対しての鍼灸施術
鍼灸は、東洋医学に基づく治療法で、体内の気の流れを整えることで健康を促進します。躁鬱病に対する鍼灸治療は、症状の緩和と全体的なバランスの回復を目的としています。具体的には、鍼灸によって神経系や内分泌系に働きかけることで、気分の安定化やリラックス効果を促進し、自律神経の調整を図ります。
鍼治療では、全身の気のバランスを整えるために、特定の経穴(ツボ)に鍼を刺入します。これにより、ストレスや緊張を軽減し、リラクゼーションを促進します。鬱状態が強い場合、経脈を使った治療をすることがあります。その時に主要となるのは肝経や心経です。体に足りないエネルギーを補うため肝経を使い血を足し、心経を使って精神の安定を促すために使用します。また、躁状態が続く場合には、脾経や腎経の調整を行うことで、エネルギーの過剰な動きを抑えることができます。
灸治療では、特定の経穴に温熱刺激を与えることで、血行を促進し、リラックス効果を高めます。これは特に、鬱状態や疲労感の軽減に有効とされています。鍼灸治療は、西洋医学的な治療法(薬物療法や心理療法)と併用されることが多く、統合的なアプローチとして患者の全体的な健康を支える役割を果たします。
以上のように、躁鬱病の管理には多角的なアプローチが必要です。セルフケアや鍼灸治療は、気分の安定化や生活の質の向上に寄与しますが、専門医との連携も欠かせない要素です。