はじめに
逆子とは、妊娠中に胎児が正常な頭位(頭が子宮口に向いている状態)ではなく、骨盤や足が子宮口に向いた状態のことを指します。通常、妊娠後期には胎児は頭位をとるようになりますが、一部の胎児は逆子のまま出産を迎えることがあります。逆子は「骨盤位」とも呼ばれ、全妊娠の約3~4%で見られる状態です。
妊娠32~36週頃までは、胎児が自然に回転して頭位に戻ることがよくあります。逆子が確認されても、この時期までは様子を見ることが一般的です。妊娠37週以降になると、胎児の動きが少なくなり、自然に回転する可能性が減るため、必要な対応が検討されます。
逆子の種類
逆子にはいくつかのタイプがあります。
骨盤位(単臀位)
赤ちゃんのお尻が下にあり、足は上に向いている状態。
最も一般的な逆子の形です。割合としては70〜80%です。
膝位
赤ちゃんの膝が下にある状態。
膝を曲げた状態で膝が子宮口に向いています。
割合としては20〜30%です。
足位
赤ちゃんの足が子宮口に向かっている状態。
片方の足、もしくは両方の足が下にある場合があります。
割合としては1%です。
逆子と東洋医学
逆子(骨盤位)は体内の「気」や「血」のバランスの乱れが原因で起こると考えられています。東洋医学では、人体のエネルギーの流れを重視し、このエネルギーの不調和がさまざまな病気や症状を引き起こすとされます。逆子もその一つであり、特に妊婦の体内における「気」の滞りや冷え、血流の不順が胎児の正常な位置を妨げる要因とされています。
東洋医学では、逆子治療は単に胎児を回転させることだけでなく、妊婦の体調を全体的に改善し、出産に向けた最適な状態を整えることを目的としています。気血の流れを改善し、冷えを取り除くことで、母体と胎児の健康を促進し、逆子を自然に矯正する環境を作り出すことが重要です。
鍼灸治療の効果について
鍼灸は逆子治療においてリスクが少ないため、妊婦に対する安全な補助療法として利用されています。ただし、鍼灸治療による逆子の矯正率には個人差があり、必ずしも全てのケースで成功するわけではありません。妊娠28週~31週以内に施術すると成功率が高くなり、1~4回の治療で改善しやすいですが31週を超えると難しくなってきます。鍼灸治療を試みるタイミングも重要です。
灸治療で用いられるツボ
至陰
場所:足の小指の爪の外側にあります。
これは逆子を矯正する効果があるとされる最も一般的なツボです。
施術方法
艾(もぐさ)を使用した灸を足の至陰穴に1日に2回程度行い、数日から1週間続けることがあります。
効果のメカニズム
体内の気血の流れを整えることで、子宮の緊張を和らげ、胎児の位置が変わることを期待します。
その他のツボ
三陰交
足の内側、くるぶしから指4本分上にあるツボで、婦人科系の症状に広く用いられます。
合谷
手の親指と人差し指の間にあるツボで、全身の気血の流れを調整します。