天気に左右される体とは
気圧の変化によって引き起こされる体調不良は、「気象病」や「天気痛」と呼ばれ、多くの人が悩まされています。特に低気圧が接近したり、急激な気圧の変化が起こる際に、不調が現れやすくなります。気圧の変化による不調は、頭痛、めまい、関節痛、疲労感、だるさなど多岐にわたります。
原因
自律神経の乱れ
・気圧の変化は自律神経のバランスに大きな影響を与えます。特に、副交感神経と交感神経の切り替えがうまくいかなくなることで、さまざまな不調が引き起こされます。
・低気圧が接近すると、副交感神経が優位になり、血管が拡張しやすくなります。これが、頭痛やめまい、だるさの原因になります。
内耳の圧力変化
・気圧の変化は、内耳(特に前庭)にある平衡感覚をつかさどる部分に影響を与えます。このため、気圧が低下すると、めまいや耳鳴り、平衡感覚の乱れが起こることがあります。
血管の反応
・気圧が下がると体内の酸素濃度も低下し、血液の循環が悪くなります。この結果、頭痛や肩こり、全身の倦怠感が引き起こされやすくなります。
関節や筋肉への影響
・気圧が低いと、関節や筋肉にかかる圧力が変化し、炎症を抱えている部分が痛みを感じやすくなります。関節痛や古傷の痛みが悪化することが多いのも、このためです。
症状
頭痛や偏頭痛
・血管の拡張や自律神経の乱れにより、頭痛が頻繁に発生します。特に片頭痛を持つ人は、低気圧が近づくと症状が悪化しやすくなります。
めまい、耳鳴り
・内耳の圧力変化によって、めまいや耳鳴りが生じることがあります。これは、体のバランス感覚が一時的に乱れることが原因です。
関節痛、筋肉痛
気圧の変化により、関節や筋肉にかかる負荷が変化するため、関節痛や筋肉のこわばり、古傷の痛みが悪化することがあります。
倦怠感やだるさ
・自律神経の乱れにより、全身に倦怠感やだるさを感じることがあります。特に低気圧のときは、体が重く感じ、疲労感が抜けないことが多く見られます。
睡眠障害
・気圧変化によって自律神経が乱れると、睡眠の質が低下することがあります。寝付きが悪くなったり、夜中に目が覚めたりといった睡眠障害が起こることもあります。
ケア方法
自律神経を整える
規則正しい生活リズムや十分な睡眠を確保することで、自律神経のバランスを整えることが重要です。また、ストレッチや深呼吸、軽い運動を取り入れることで自律神経を安定させる効果があります。
耳のケア、温める
耳のケア
内耳への影響を軽減するために、耳を温めたり、耳の周りを優しくマッサージすることで、めまいや耳鳴りの予防になります。
温める
体を冷やさないように、温かい飲み物や入浴をして血行を促進しましょう。血流が良くなることで、気圧変化による倦怠感や関節痛が軽減されます。
鍼灸
気圧の変化による不調に対して、鍼灸も有効です。特に、自律神経を整えるツボや血流を改善する治療が、頭痛や倦怠感の軽減に役立ちます。
鍼灸で使うツボ
百会(ひゃくえ)
位置:頭のてっぺん、左右の耳を結んだ線と頭の正中線が交わる点にあります。
効果:自律神経を整え、頭部の気の巡りを良くします。天気による頭痛やめまい、集中力の低下を和らげる効果があります。
風池(ふうち)
位置:後頭部、首の付け根にあるくぼみの部分にあります。頭蓋骨の下あたりです。
効果:頭痛や肩こり、めまい、耳鳴りに効果的です。天気による体調不良の原因である「風邪(ふうじゃ)」を取り除き、首から上の症状を緩和します。
合谷(ごうこく)
位置:手の甲側、親指と人差し指の間のくぼんだ部分にあります。
効果:頭痛、肩こり、ストレスに対して効果的です。特に頭部の痛みや血流の改善に有効で、緊張性頭痛や片頭痛の緩和にも役立ちます。
内関(ないかん)
位置:手首の内側、手首の横シワから指3本分下にあります。
効果:自律神経のバランスを整える効果があり、天気痛に伴う吐き気やめまい、不安感を緩和します。
足三里(あしさんり)
位置:膝の外側、膝のお皿の下から指4本分下にあります。
効果:全身の気の巡りを良くし、疲労感や体のだるさを改善します。天気痛による全身の倦怠感や免疫力の低下にも効果的です。
太陽(たいよう)
位置:こめかみの少し外側、目と耳の中間に位置するくぼみにあります。
効果:頭痛や目の疲れ、片頭痛を和らげるツボです。気圧の変化による頭痛に特に効果的です。
天柱(てんちゅう)
位置:首の後ろ側、髪の生え際の中央から少し外側にあります。
効果:首の緊張をほぐし、頭痛や肩こり、めまいを緩和します。気圧の変化による血流の滞りを改善し、全体的な頭部の不調に効果的です。