中途覚醒とは
中途覚醒とは、睡眠中に繰り返し目が覚めてしまい、その後、再び深い眠りに戻れない状態を指します。夜中に一度目を覚ますことは誰にでも起こり得ますが、問題となるのはその頻度と覚醒の持続時間です。通常、健康な成人は一晩に数回短時間目が覚めることがありますが、その多くは気づかずに自然に再び眠りにつきます。しかし、中途覚醒を頻繁に経験する人は、一度目が覚めると長い時間眠れなくなったり、夜中に何度も目が覚めたりするため、質の高い睡眠を得ることができません。
中途覚醒の原因
中途覚醒の原因は多岐にわたります。心理的なストレスや不安、身体的な要因など、さまざまな要因が関与します。以下は、その主な原因です。
【ストレスと不安】
現代社会において、ストレスや不安は中途覚醒の最も一般的な原因の一つです。仕事のプレッシャーや人間関係の問題、家族のことなどが頭の中に残っていると、寝ている間に脳が活発に働き、目が覚めやすくなります。また、将来の不安や過去の出来事について悩むことが、夜間に思い出され、寝付けなくなることもあります。
【加齢】
年齢を重ねると、自然に睡眠の質が低下する傾向があります。特に高齢者は、睡眠が浅くなりがちで、夜中に目が覚めることが増えると言われています。これには、ホルモンの分泌量の変化や、体内時計の乱れが影響しています。
【身体的な不快感】
身体的な不調も中途覚醒の原因になります。例えば、腰痛や関節痛、風邪や喘息などの症状がある場合、夜中に痛みや不快感で目が覚めることがあります。また、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、睡眠中に呼吸や体の動きが妨げられる症状も中途覚醒を引き起こします。
中途覚醒が及ぼす影響
健康的に過ごすうえで睡眠は大切な基盤です。この基盤が崩れると以下のようなことにつながります。
・日中の疲労感、倦怠感
・精神的な不安定感
・免疫力の低下
・記憶力や学習能力の低下
・事故やけがのリスク増加
・対人関係の悪化
中途覚醒の東洋医学
【自律神経の調整】
中途覚醒の原因の一つに、自律神経の乱れがあります。自律神経には、交感神経(活動時に優位になる)と副交感神経(リラックス時に優位になる)の2種類があります。現代人はストレス過多の生活を送ることが多く、交感神経が優位になりやすいため、夜間でも脳が興奮状態になり、中途覚醒を引き起こすことがあります。
鍼灸は、特定のツボを刺激することで自律神経のバランスを整え、副交感神経を活性化させる作用があります。これにより、体がリラックスし、夜間の睡眠中に深い眠りに入りやすくなると考えられています。
【ストレス軽減と精神の安定】
鍼灸は、ストレスを軽減し、心身のリラックスを促進する効果も報告されています。特に、頭部や首、肩のツボを刺激することで、緊張を和らげることができます。これにより、精神的な安定が得られ、ストレスや不安が原因で起こる中途覚醒が緩和される可能性があります。
【ホルモンバランスの調整】
鍼灸は、ホルモンバランスの調整にも関与すると考えられています。特に、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌に影響を与えることで、睡眠リズムを整える効果が期待されます。鍼灸によるホルモンバランスの改善が、中途覚醒の頻度を減らし、より質の高い睡眠をサポートすることができるのです。
当院の鍼灸治療
当院では以下のような治療を行っていきます。
【自律神経の施術】
全身にあるツボを使い、興奮状態にある交感神経を落ち着かせて、副交感神経の活動を促進させます。
そうすることで眠りやすくなり、睡眠中も深い眠りになります。
【頭部の施術】
頭に鍼をすることで脳の血流量が上がることが分かっています。脳に十分な量の新鮮な血液を循環させることで脳の疲労を改善させて休みやすい脳の状態にしていきます。
【首肩・背中の施術】
首肩や背中の筋肉の硬さは交感神経を興奮させる要因になります。そのため鍼で筋肉の緊張や硬結を改善させてより自律神経が整うようにしていきます。