はじめに
脊柱管狭窄症は、脊柱管(脊髄や神経が通る管)が狭くなることで、神経を圧迫し、痛みやしびれ、筋力低下などの症状を引き起こす病気です。主に加齢による変化や関節炎、椎間板ヘルニアなどが原因となり、腰椎(腰)に発生することが多いです。
症状
腰の痛み:長時間の立位や歩行で悪化することが多いです。
しびれや筋力低下:下肢に現れることがあり、歩行が困難になることがあります。
間欠性跛行:歩くと痛みが出て、休むと痛みが和らぐ現象。
膀胱や腸の機能障害:重度の場合、排尿や排便のコントロールが難しくなることもあります。
鑑別
脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)は、どちらも歩行時に足に痛みを伴うことがあり、症状が似ているため区別が必要です。
原因の違い
脊柱管狭窄症
脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで発症します。加齢による椎間板の変性や骨の変形、靭帯の肥厚が原因となり、神経圧迫による痛みや痺れを引き起こします。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化によって足の血管が狭窄または閉塞し、血流が不十分になることで発症します。主に高血圧、糖尿病、喫煙、高コレステロールなどがリスク因子です。
歩行時の特徴的な違い
脊柱管狭窄症
歩くときに痛みが生じますが、自転車に乗ったり前かがみの姿勢になると痛みが軽減するのが特徴です。これは、脊柱管が広がり、神経圧迫が緩和されるためです。
閉塞性動脈硬化症
血流が原因のため、前かがみ姿勢では痛みが和らぐことはありません。安静にして血流が回復すると痛みが緩和されます。
鑑別のポイント
脊柱管狭窄症
神経圧迫が原因であり、前かがみ姿勢で症状が軽減する「間欠性跛行」が特徴的です。
閉塞性動脈硬化症
血流不足が原因で、足の冷感や皮膚の変色など血行障害の症状がみられ、安静にすることで症状が緩和しますが、姿勢の変化では症状は変わりません。
脊柱管狭窄症の鍼灸治療
神経や筋肉の緊張を緩和し、血流やエネルギーの流れを改善することによって、痛みや痺れなどの症状を緩和します。
目的と効果
痛みの軽減
鍼を用いて痛みのある部位やツボに刺激を与えることで、エンドルフィン(自然鎮痛物質)を放出し、痛みを緩和します。
筋肉の緊張緩和
鍼によって筋肉の緊張をほぐし、神経への圧迫を軽減します。これにより、腰や下肢の痛みや痺れを軽減します。
血流の促進
血流を改善することで、神経への栄養供給が増加し、炎症や痛みの軽減につながります。
神経機能の改善
神経の過剰な興奮を抑制し、痛みや痺れなどの神経症状を緩和します。