アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンに対して鼻粘膜が反応し、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が引き起こされる疾患です。特に、春先にスギ花粉によって症状が悪化する「花粉症」もアレルギー性鼻炎の一種で、30代から50代の女性には、家事や仕事の合間に悩まされることが多いかもしれません。日常生活の質に影響を及ぼすため、適切なケアや予防方法を知ることが大切です。
東洋医学的観点からみたアレルギー性鼻炎
東洋医学において、アレルギー性鼻炎は体内の「気(エネルギーの流れ)」「血(栄養と循環)」「水(体内の水分バランス)」のバランスが崩れ、特に「肺(呼吸器系)」や「脾(水分代謝系)」の働きが弱まることで発症すると考えられます。アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜が過敏に反応している状態で、主に以下の3つの要因が関係しています。
【外邪(がいじゃ)】
風や寒さ、湿気といった外部からの刺激が、免疫を担う「衛気(えき)」の防御力を弱めることによって、鼻の粘膜が過敏に反応するようになります。
【気虚(ききょ)】
エネルギー不足により、体の防御機能が弱まると外邪に対して過剰に反応し、くしゃみや鼻水が出やすくなります。
【湿熱(しつねつ)】
体内の水分と熱のバランスが崩れた状態で、湿気や炎症によって鼻腔が刺激され、鼻づまりや黄色い鼻水が出る原因となります。
東洋医学では、アレルギー性鼻炎は一時的な症状だけでなく、体質全体の問題として捉えられます。体の内部にある根本原因を解決し、免疫系のバランスを整えることで、症状を根本から改善しようとするのが特徴です。西洋医学のように症状そのものに対処するのではなく、根本的な体質改善を目指します。
当院のアレルギー性鼻炎の鍼灸治療
鍼灸はアレルギー性鼻炎に対して効果的な治療手段とされています。
鍼灸治療では、体の特定の経穴(ツボ)を刺激することで、気の巡りを改善し、免疫力を高めることが目的です。アレルギー性鼻炎においても、鍼灸治療は即効性があると同時に、治療を繰り返すことで体質改善を促進する長期的な効果が期待できます。
当院では、お身体全身の治療を行っていくため仰向けの施術とうつ伏せの施術それぞれ行います。
仰向けでは鼻周りに鍼をして血行の改善を行い、手足・お腹には鍼とお灸をして自律神経を整えていきます。
うつ伏せでは固まっている筋肉を鍼で緩めることで呼吸をしやすくして肺や気管にかかる負担を軽くします。
アレルギー性鼻炎に効果的なツボ
【迎香(げいこう)】
鼻の横にあるツボで、鼻づまりや鼻水の症状を和らげるのに効果的です。迎香は鼻周りの血流を改善し、鼻の粘膜を落ち着かせる効果が期待されます。
【風池(ふうち)】
首の後ろに位置するツボで、外部からの冷えや風邪による刺激を取り除く効果があります。風池を刺激することで、体の防御力が高まり、外邪からの影響を減らせます。
【足三里(あしさんり)】
足の膝の下に位置するツボで、消化器系や免疫力を強化する効果があります。アレルギー性鼻炎の根本的な体質改善にも関わる重要なツボです。
【鍼灸治療によるアレルギー性鼻炎の具体的な効果】
鼻づまりや鼻水の改善:迎香や風池、合谷などのツボを刺激することで、鼻の血流が改善し、鼻づまりや鼻水が軽減されます。
【免疫力の向上】
特に、足三里を刺激することで消化器系が活性化し、免疫機能の向上に繋がります。これにより、外邪に対する抵抗力が高まり、アレルギー症状が出にくくなります。
【自律神経の安定】
アレルギー性鼻炎は自律神経の乱れが関わることも多く、鍼灸治療によって自律神経が整い、アレルギー反応が抑制されやすくなります。
【ストレスの軽減】
アレルギー症状はストレスによって悪化する場合も多いため、鍼灸治療で体全体のリラックス効果を促し、ストレスを軽減させることができます。
アレルギー性鼻炎の一般的な環境原因
アレルギー性鼻炎は、特定の物質(アレルゲン)に対して免疫系が過敏に反応することで起こります。主なアレルゲンには、次のようなものがあります。
花粉:スギ、ヒノキ、ブタクサなどが代表的で、季節ごとに発生します。
ハウスダスト:家の中のほこりやダニの死骸・排泄物など、日常生活に密着した要因。
ペットの毛:猫や犬の毛やフケもアレルギーの原因になることがあります。
カビ:湿度の高い場所に発生しやすく、長時間いるとアレルギー反応が出やすくなります。
特に、30代から50代の女性は、仕事に加え家庭内で掃除や家事をする機会が多いため、ハウスダストやカビなどのアレルゲンに触れる頻度も高く、アレルギー性鼻炎が発症しやすい環境にいると言えるでしょう。また、季節性の花粉症は避けようのない環境要因ですが、ハウスダストやカビなどは日々の対策で軽減できるため、アレルゲン管理が重要です。
アレルギー性鼻炎の症状
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの三大症状が特徴です。また、以下のような症状も加わることがあります。
目のかゆみや充血:アレルギー反応が鼻だけでなく、目にも現れることがあります。
喉の違和感や咳:鼻水が喉に流れ込むことによって、痰が絡んだり咳が出ることがあります。
集中力の低下や頭痛:鼻づまりによって脳への酸素供給が低下し、頭痛や集中力の低下を感じることもあります。
このような症状は、生活に支障をきたすほどつらくなることもあります。特に日中、家事や仕事で忙しい30代から50代の女性にとって、鼻づまりや目のかゆみは集中力を欠く原因にもなり得ますし、夜間に鼻づまりが続くと睡眠の質が低下し、疲れが取れにくくなることもあります。
アレルギー性鼻炎の病院での治療
1. 薬物治療
薬物治療は、症状の程度に応じて適切な薬を使用することで症状を緩和します。
抗ヒスタミン薬:くしゃみや鼻水などの症状を抑える薬です。飲み薬や点鼻薬があり、眠気を感じにくいタイプもあります。
ステロイド点鼻薬:鼻粘膜の炎症を抑える薬で、鼻づまりに特に効果があります。長期間使用できるものもあり、効果的な治療法の一つです。
抗アレルギー薬:アレルギー反応そのものを抑えるため、日常的に服用することが推奨される場合もあります。
2. 免疫療法(アレルゲン免疫療法)
根本的な治療としては、アレルゲン免疫療法があります。これは、少量のアレルゲンを徐々に体内に取り入れ、体が慣れるようにする方法です。数年間かかりますが、花粉やダニによるアレルギー性鼻炎に対して効果が期待され、長期的にアレルギー症状が軽減される可能性があります。
鍼灸治療と東洋医学によるアレルギー性鼻炎のまとめ
東洋医学では、アレルギー性鼻炎は単に鼻の症状だけでなく、体全体のエネルギーバランスの乱れが原因と考えられています。鍼灸治療はそのバランスを整え、免疫力を高めることで症状を改善し、体質そのものを変えることを目指す治療法です。薬に頼らず自然な方法で体質改善を図りたい方には、鍼灸治療が適しているかもしれません。
日常生活においても、冷えや湿気を避ける、体を温める食事をとる、ストレスを適度に解消するなどの自己ケアを並行して行うことで、さらに効果的にアレルギー性鼻炎を予防・改善できるでしょう。鍼灸治療と東洋医学の知恵を取り入れ、根本から健康的な体質を目指してみてはいかがでしょうか。