慢性鼻炎が日常に与えている影響とは
慢性副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔が慢性的に炎症を起こしている状態のため、日常生活にさまざまな困難をもたらします。
1. 鼻づまりで呼吸がしづらい
慢性副鼻腔炎では鼻腔が炎症や粘膜の腫れで狭くなるため、鼻呼吸が困難になります。その結果、口呼吸に頼ることになり、次のような不便が生じます。
睡眠の質が低下する:鼻づまりによって夜間に十分な酸素を取り込めず、睡眠が浅くなることがあります。結果として、朝の疲労感が抜けないことが多いです。
乾燥しやすい喉:口呼吸が続くと喉が乾燥し、風邪をひきやすくなったり、声がかれたりすることがあります。
2. 慢性的な頭痛や顔の痛み
副鼻腔に膿が溜まり続けると、頭や顔に重苦しい痛みや圧迫感が生じます。この痛みは次のような形で日常に影響します。
集中力の低下:特に午後になると頭痛が悪化し、仕事や家事に集中できなくなることがあります。
顔の不快感:目の周りや頬骨のあたりに重い痛みが続くと、イライラ感や疲労感を伴います。
3. 疲れやすくなる
慢性副鼻腔炎の症状が持続すると、体が常に炎症と闘っているため、次のような状態になりがちです。
慢性的なだるさ:副鼻腔炎の炎症が続くと、免疫力が低下し、全身が疲れやすくなります。
集中力の低下:特に鼻詰まりや頭痛がひどい日は、仕事や家事の効率が大幅に下がります。
東洋医学における慢性副鼻腔炎の原因と考え方
東洋医学では、慢性副鼻腔炎は体内の「気(エネルギー)」「血(栄養と循環)」「水(体液の調整)」の不調によって引き起こされると考えられます。特に、肺と脾(消化器系)の機能低下が症状に関係するとされ、次のような要因が主な原因と見なされています。
風邪(ふうじゃ):東洋医学では、風邪や寒さの影響が副鼻腔に滞ることで、鼻詰まりや顔の痛みが引き起こされると考えます。特に、冷たい風や湿気が体に入ると、鼻の粘膜が過敏になり、炎症が続く原因となります。
湿邪(しつじゃ):体内の水分バランスが乱れると、不要な水分(湿気)が副鼻腔に停滞し、膿が溜まりやすくなります。これは、東洋医学的には脾の働きが弱まることで起こるとされ、むくみや痰が絡む咳などの症状も出やすくなります。
気虚(ききょ):エネルギー不足や体力の低下によって、体全体の防御機能が弱まり、副鼻腔の炎症が治りにくくなります。これにより、鼻の粘膜の腫れが長引き、症状が慢性化します.
鍼灸治療によるアプローチ
東洋医学的にみると、慢性副鼻腔炎は体全体のバランスを整えることが重要で、鍼灸治療が有効な手段とされています。鍼灸は、経絡(エネルギーの通り道)に沿ったツボを刺激し、気血の巡りを良くして副鼻腔の炎症を鎮めることを目指します。
慢性副鼻腔炎に効果的なツボ
迎香(げいこう):鼻の横に位置するツボで、鼻詰まりや鼻水の解消に効果的です。迎香を刺激することで、鼻周りの血流が促進され、鼻の通りが良くなります。
印堂(いんどう):眉間にあるツボで、顔の痛みや鼻づまり、頭痛の改善に役立ちます。このツボを刺激することで、前頭部の血行が良くなり、炎症が軽減されやすくなります。
足三里(あしさんり):膝の外側にあるツボで、消化機能と免疫力を高める効果があります。足三里は脾を活性化し、体内の湿邪を排除しやすくするため、副鼻腔炎の根本的な体質改善に関与します。
肺兪(はいゆ):背中の上部にあるツボで、肺の機能を高め、呼吸器系の炎症を鎮める効果が期待できます。肺兪を刺激することで、鼻の粘膜を健やかに保つ手助けができます。
鍼灸治療の進め方
鍼灸治療では、これらのツボを刺激することで副鼻腔の炎症を緩和し、体内の気血の巡りを改善します。治療は通常週に1~2回程度の頻度で行い、数か月間継続することで効果が期待できます。
施術中は仰向けで顔や足、手のツボを刺激したり、うつ伏せで背中や肩周りのツボを刺激することが一般的です。これにより、鼻や顔の痛みが軽減されると同時に、全身のエネルギーバランスが整えられます。
鍼灸治療による慢性副鼻腔炎の具体的な効果
鼻詰まりや鼻水の緩和:迎香や印堂のツボを刺激することで、鼻周りの血流が良くなり、鼻詰まりが解消されやすくなります。特に、鼻の通りが良くなることで睡眠の質も向上します。
炎症の軽減:肺兪や風池などのツボを刺激することで、副鼻腔内の炎症が和らぎます。これにより、顔面の圧迫感や痛みが軽減されます。
免疫力の向上:足三里を刺激することで消化機能が改善され、体全体の免疫力が高まります。体が副鼻腔の炎症を克服しやすくなり、長期的な体質改善に役立ちます。
体内の湿気を取り除く:脾に働きかけるツボを刺激することで、体内の余分な湿気を排出しやすくし、膿のたまりにくい体質に整えます。