聴覚過敏とは
聴覚過敏とは、音に対して過剰な反応を示す症状であり、漠然とした騒音や特定の音に対して強い不快感を感じる状態を指します。周囲が普通に感じるような音や音量でも、聴覚過敏の人にとっては非常に苦痛や不快な刺激となります。
聴覚過敏の症状には以下のようなものがあります
・突然の騒音に反応することが多い
・騒音や音楽、話し声などに対して過剰に反応
・特定の音に対して反応を示す
(爆発音、子供の泣き声、ドアの開閉音など)
・人混みの中での声をうるさいと感じるため、外出や社交場に行きたくない
・音によるストレスが強く、集中力や睡眠に影響を与えることがある
また、体調が優れない場合に、聴覚過敏の症状が強く現れることがあります。
聴覚過敏の原因
1.耳の機能
メニエール病や突発性難聴など
音そのものは聞こえにくいのに、特定の音が強く響いたり、不快に感じられたりします。
2脳の機能
発達障害、てんかんや偏頭痛
自閉症スペクトラム障害や注意欠如・多動性障害(ADHD)など、発達障害のある方は聴覚を含む五感が敏感になりやすいと言われているため聴覚過敏に悩まされるケースがあります。
てんかんや偏頭痛は脳の神経細胞の過剰な興奮により、聞きたい音をうまく選択できない状態になります。
3ストレスなど
うつ病、自律神経失調症など
自律神経が乱れていると、音や声に対して過敏に反応することがあります。
聴覚過敏の鍼灸治療
聴覚過敏は、ある音に対して大きく反応してしまう状態であり、集中力の低下、疲れやストレスの増加などの症状を引き起こします。鍼灸治療は、聴覚過敏の症状を緩和するために効果的な治療法の1つとされています。
鍼灸治療では、経絡やツボを刺激することにより、身体のバランスを整え、自然治癒力を高める効果が期待されます。 聴覚過敏の場合、耳の周りの経絡やツボを刺激することで、症状の改善が見込めます。
鍼灸治療においては、特定のツボに鍼を刺して刺激を与えることで、身体の調和を取り戻すことを目的としています。
耳門(じもん)
耳たぶの上にあるツボで、聴覚過敏の症状を緩和する効果があるとされています。
四神聴(ししんちょう)
頭頂部にあるツボで、ストレスや不安を緩和する効果があるとされています。
靈樞(れいすう)
後頸部にあるツボで、頭痛や眼精疲労を緩和する効果があるとされています。
治療の効果は人によって異なるため、一般的には複数回の治療が必要となります。
またストレスや自律神経失調症などによる過敏反応においては脳への血流不足が考えられます。
自律神経が乱れると心臓や血管のコントロールも乱れてくることになります。脳への血流低下が生じ、脳が過敏になることで音が気になるという症状を引き起こします。
鍼灸治療では自律神経を統括している脳の中枢に働きかけ自律神経を調節する作用があります。
治療前に症状や体調などを詳しく聞いた上で、患者さんの痛みや不快感に配慮しながら治療を進めます。また原因が複数考えられるため、根本的な原因にアプローチする治療が必要となります。
鍼灸治療だけでなく、生活習慣の改善やストレス管理など、総合的なアプローチが必要になる場合もあります。鍼灸治療以外にも、聴覚過敏の改善には、音楽療法や心理療法などが効果的であることが知られています。
周りから理解されにくいのが現状です
聴覚過敏は見た目ではわからず、理解されにくい症状です。「我慢できないの?」「いずれ慣れるよ」などと言う人も中にはいるかもしれません。
しかし、当人にとって聴覚過敏の不快さは大問題であり、音のせいで生活に支障が出ている人もたくさんいます。
聴覚過敏とは上記の通り耳や脳、心の問題であるため、気の持ち方や慣れでどうにかなるものではありません。
聴覚過敏になってしまったら、周りの人に症状を説明し、サポートを求めるようにしましょう。