後頭神経痛とは
後頭神経痛は、後頭部を通る神経が刺激されたり圧迫されたりすることで起こる痛みです。特に「大後頭神経」や「小後頭神経」と呼ばれる神経が関与しています。
〈痛みの特徴〉
・鋭い痛み:突然発生する刺すような痛み
・局所的な痛み:後頭部、首の付け根、頭皮などに限定された痛み
・感覚異常:頭皮がピリピリしたり、触れると感じる痛み
この症状は片側だけの場合もあれば、両側に起こることもあります。
原因
1.姿勢不良
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、首や肩に過剰な負担がかかることがあります。これにより筋肉が緊張し、神経が圧迫されやすくなります。
2.筋肉の過緊張
肩こりや首こりによる筋肉の硬直が、後頭神経を圧迫することがあります。
3.外傷やストレス
首や後頭部への直接的な外傷、または精神的ストレスが原因で神経が敏感になる場合があります。
4.病気による影響
頸椎(首の骨)の問題や他の疾患が関与しているケースも少なくありません。
分類
後頭神経痛の原因は、筋肉・血管・神経それぞれに由来する場合があり、それぞれの原因によってアプローチが異なります。
筋肉由来
〈特徴〉
・長時間の姿勢不良やストレスで首や肩の筋肉が過緊張し、筋肉が硬くなることで神経を圧迫して痛みが生じます。
・肩こりや首の張りを伴うことが多いです。
・朝起きたときや長時間同じ姿勢を取った後に悪化しやすい。
〈原因〉
・猫背や前かがみの姿勢が続く
・パソコンやスマートフォンの使用による頭部の前傾
・運動不足による血流不良
〈セルフケア〉
1.首や肩のストレッチ
硬くなった筋肉をほぐすためのストレッチを行います。
・首をゆっくり回す(左右3回ずつ)
・首の横側を伸ばすストレッチ(片手を頭に当ててゆっくり横に倒す)
2.温める
ホットパックや蒸しタオルで首・肩を温め、筋肉の緊張を緩めます。特にお風呂では首を湯船に浸すと効果的です。
3.姿勢の改善
デスクワーク時にはモニターの高さを目線と合わせ、腰と背中がまっすぐになるよう意識します。
4.定期的な運動
ウォーキングや軽い筋トレで首や肩の血流を促進しましょう。
血管由来
〈特徴〉
・血管が神経を圧迫したり、血流障害によって痛みが生じる場合があります。
・冷え性の人や肩こりがある人に多く、寒い季節やストレスで症状が悪化しやすい。
・脈打つような痛みがある。
〈原因〉
・血流不足や血管の収縮(冷えや緊張による)
・高血圧や低血圧など血管に関わる問題
〈セルフケア〉
1.全身を温める
・寒いと感じたら、首や肩を重点的に温める。マフラーやネックウォーマーを活用する
・入浴時には、40℃前後の湯船に15分程度浸かると血行が改善します。
2.適度な運動
軽い運動で全身の血行を良くすることが重要です。特に首回りのエクササイズや肩甲骨を動かす運動がおすすめです。
3.深呼吸やリラックス
ストレスが血管収縮を引き起こすことがあるため、深呼吸や瞑想でリラックスする時間を設けましょう。
4.水分補給
血流を促すためには水分補給が不可欠です。特に冬場は乾燥しやすいため、意識的に水を飲むようにしましょう。
神経由来
〈特徴〉
・後頭神経自体が炎症を起こしたり、圧迫されることで発生します。
・鋭い刺すような痛みや電撃痛が特徴的。
・痛みが突発的で、触れると敏感に反応する場合があります。
〈原因〉
・神経に直接的な刺激や圧迫が加わる。
例)外傷、頸椎の問題(椎間板ヘルニアや変形性頸椎症)など
・神経の炎症(ストレスや免疫系の問題も関与)
〈セルフケア〉
1.過度な刺激を避ける
痛みが強い場合は無理に首を動かさず、休息を優先します。痛みを増悪させる動作を控えましょう。
2.冷やす or 温める
・炎症が強い場合は冷やすことで痛みを和らげます。冷却ジェルパックを使い、1回15分程度を目安に。
・炎症が治まったら温めることで神経周囲の血行を良くします。
3.軽いストレッチ
痛みが和らいだ後は、筋肉をほぐす軽いストレッチを取り入れましょう。ただし、神経が関与している場合、ストレッチのやりすぎは逆効果となる場合もあるので慎重に。
4.睡眠環境を整える
枕の高さや硬さを調整し、首や後頭部への負担を減らします。低反発の枕やタオルを丸めて首を支えるのも効果的です。
鍼灸治療が有効
1.筋肉の緊張を緩和
鍼や灸を用いることで、筋肉の深層にアプローチし、血流を促進します。これにより筋肉の緊張が和らぎ、神経への圧迫が軽減されます。
2.痛みを鎮める作用
鍼刺激は脳内でエンドルフィン(痛みを抑える物質)を放出させる効果があります。これにより、自然な形で痛みが軽減されます。
3.自律神経の調整
後頭神経痛にはストレスが関与していることが多いですが、鍼灸は自律神経を整え、リラックス効果をもたらします。