慢性疲労症候群とは

・しっかり寝ているはずなのに、疲れが抜けない
・検査では異常がないのに、体が重くて動けない
・何年も前から、ずっと調子が悪い
このような状態が6か月以上続いている場合、慢性疲労症候群が関係している可能性があります。
慢性疲労症候群は、十分な休養をとっても改善しない強い疲労感を主症状とし、日常生活に大きな支障をきたす状態です。日本ではまだ認知度が高いとは言えず、気のせいやストレス、年齢のせいなどと片付けられてしまうことも少なくありません。
しかし実際には、慢性疲労症候群は体と心、両方に深く関わる複雑な不調のため、しっかりとしたケアが必要です。

症状

慢性疲労症候群では、単なる「疲れ」だけでなく様々な症状を伴うことが多くあります。

休んでも回復しない強い倦怠感
微熱や寒気が続く
頭がぼーっとする、集中力・記憶力の低下
睡眠の質が悪い（寝てもスッキリしない）
筋肉痛・関節痛
動悸、息切れ
めまい、立ちくらみ
不安感、気分の落ち込み


これらの症状は日によって強さが変わり、調子が良い日と全く動けない日を繰り返すのも特徴です。

原因

現在の医学では、慢性疲労症候群の原因は一つに特定されていません。ただし、以下の要因が関与していると考えられています。

自律神経の機能異常
免疫バランスの乱れ
ホルモン分泌の調整異常
ストレスや過労
ウイルス感染後の体調変化

検査では明確な異常が見つかりにくいため、治療は対症療法が中心になりがちです。そのため、どうケアしていけばいいのか分からないと悩む方も多いのが現状です。

東洋医学

東洋医学では、体全体のバランスが長期間乱れた状態として捉えます。

気の不足

東洋医学では、体を動かす原動力を「気」と考えます。慢性的な疲労が続く状態は、気が消耗しきっている状態と捉えられます。

血・水の巡りの低下

疲労が続くと、血流や体液循環が滞り、重だるさ、頭の重さ、冷え、むくみなどといった症状が出やすくなります。

五臓の弱り

脾：消化吸収・エネルギー生成
腎：生命力・回復力の源
慢性疲労症候群の方は、これらの働きが低下しているケースが非常に多く見られます。

鍼灸ができる事

自律神経を整える

鍼灸刺激は、交感神経と副交感神経のバランスを調整し、常に緊張状態にある体を「休める体」へ導きます。

血流改善

全身のツボを使うことで、血流やリンパの流れが促され、体の隅々まで栄養を届きやすくします。

睡眠改善

慢性疲労症候群の方に多い、寝ても回復しない睡眠に対して、鍼灸は休息をしっかりとれる体の状態を作るサポートをします。

精神面のアプローチ

鍼灸は身体だけでなく、不安感・焦燥感・気分の落ち込みといった精神的な負担にも穏やかに働きかけます。

慢性疲労症候群は、長期間かけて体のバランスが崩れた状態です。そのため、1回で劇的に変わる事はほとんどなく、小さな変化を積み重ねていく施術になります。

まとめ

慢性疲労症候群は、周囲に理解されにくく、頑張りが足りない、気持ちの問題などと誤解されがちな不調です。
しかし、あなたの感じているつらさは、確かに体からのサインです。鍼灸は、そのサインに丁寧に耳を傾け、心と体を同時に整えていきます。
「何をしても良くならなかった」
「この疲れと一生付き合うしかないと思っている」
そんな方にこそ、東洋医学と鍼灸という選択肢を知っていただけたらと思います。