腸の役割とは?
腸は消化された飲食物から栄養素を吸収する役割があります。また不要な物を排泄し、毒物を溜め込まないようにします。
その他、腸は免疫機能をつかさどる器官としても重要で、体の免疫機能の約70%は腸内環境が整っているかどうかで決まると言われるほどです。
腸内細菌のバランスが整っていて腸の細胞が活性化されていれば、腸の粘膜も丈夫になり、栄養がしっかり吸収されます。そして腸の細胞が腸管を動かし不要なものはスムーズに排泄されていきます。
細胞の活性化(細胞マネジメント)については以前の記事に詳しく書いてありますので、ぜひそちらも読んでみて下さい。
また腸ではセロトニンと言うホルモンが作られる場所でもあります。
セロトニンと言うホルモンはパニック障害にも深く関わってくるホルモンですが、アドレナリンという不安を増強するホルモンを抑える役割があります。
詳しい事は後でも出てきますが、セロトニンが不足するとアドレナリンの作用が強くなり、不安が強くなってしまいます。
またこのセロトニンは、別名「幸せホルモン」とも言われ、不足するとうつ症状も現れてきやすくなります。
更には、睡眠を導くメラトニンと言うホルモンがありますが、このホルモンはセロトニンを材料にして作られます。
つまりセロトニンが不足するとメラトニンも不足し、結果的に不眠症などの睡眠障害も起こってきます。
このようにセロトニンと言うホルモンは、脳や精神機能に大きな影響を与えていますが、実は体内のセロトニンの80%は腸で生産されています。
このセロトニン生産も腸の重要な役割となっています。
腸の異常とは?
腸内環境はこの後説明しますパニック障害にも大きく影響してきます。
そして腸内に棲み着いている菌(腸内細菌)が腸内環境に最も影響を与えます。
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類があり、だいたい2:1:7くらいの割合が丁度いいとされています。
しかし何らかの原因で悪玉菌の勢力が強くなると、普段は無害な日和見菌もそれに乗っかって一緒に悪さをし出します。
特にカビの一種であるカンジタ菌が一気に増えてきます。
すると、それらをやっつけようと免疫機能が働き、この時の攻撃で腸の粘膜も傷つき炎症を起こします。
そのため必要な栄養素の吸収力も落ち、腸内環境がますます悪くなり、便秘や下痢を繰り返す事にもなるのです。
また腸のあちこちに炎症が起こると、副腎(別記事にて詳しくお伝えしています)と呼ばれる臓器から、炎症を抑えるホルモンがどんどん分泌されてしまいます。
そのホルモンは炎症がある限り分泌され続けます。次回の記事でもお伝えしますが、この分泌が続くと副腎という臓器が過敏になるため、ちょっとしたストレスで今度はアドレナリンが過剰に分泌されてしまいます。パニック障害はアドレナリン濃度にも影響を受けるため、腸の炎症は重要な原因になってきます。
腸の異常とパニック障害
これまで腸の機能や異常についてお伝えしてきました。
では腸の異常や腸内環境が、パニック障害にどのような影響を与えるのでしょうか?
その影響は主に3つあります。
①セロトニン不足
②栄養不足
③腸の炎症
この3つが引き起こされる事で、パニック障害が現れてきます。
【セロトニン不足とパニック障害】
過剰なストレスなどにより、自律神経の1つである交感神経が強くなり過ぎたり、副腎という臓器が過敏になると、アドレナリンが過剰に体内に分泌されます。それが脳の不安をつかさどるエリアに影響するので、パニック障害が現れてきます。
そのアドレナリンの作用を抑制するのがセロトニンであり、精神的な安定をもたらすホルモンです。
そのセロトニンを作る材料がタンパク質です。タンパク質はアミノ酸という形で腸から吸収されます。
しかし腸内環境が悪くなりカンジタ菌が繁殖すると、タンパク質(アミノ酸)の吸収が阻害されてしまい、材料不足となるので、セロトニンが不足します。
また前述しましたが、体内のセロトニンの80%は腸で生産されます。
しかし腸内環境が悪化すると、材料であるアミノ酸を吸収出来ないだけでなく、それを使ってセロトニンを生産する事も出来なくなっていきます。
このようにセロトニンの量が不足してくると、アドレナリンの過剰な作用を抑制出来なくなり、パニック症状が現れやすくなってしまいます。
さて今回は腸の機能や異常について、またパニック障害への影響の1つを紹介しました。
次回は、残った2つのパニック障害への影響についてと、具体的な治療・改善に必要な方法をお伝えします。
ぜひそちらも読んでみて下さい。